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仲道郁代
ベートーヴェンのピアノ・ソナタを語る記者懇親会

音楽の哲学

ピアニストの仲道郁代さんが、デビュー40周年とベートーヴェン没後200周年が重なる2027年に向けて、10年にわたる「The Road to 2027リサイタル・シリーズ」を進行中。9年目となる2026年の5~6月には、西宮・浜松・名古屋・東京で「音楽の哲学」と題したリサイタルが予定されています。これに先立ち3月19日、ヤマハ銀座ビル本館コンサートサロンで記者懇親会が行われました。


今回のプログラムは、ベートーヴェンの《ピアノ・ソナタ第30番》から《同第32番》の3曲に、シェーンベルク《6つの小さなピアノ曲》Op.19を加えたもの。仲道さんにとって、ベートーヴェンへの取り組みの原点は、作曲家・音楽評論家の故・諸井誠さんとの共同研究だといいます。2002~2006年には、諸井さんが初代芸術監督を務めていた彩の国さいたま芸術劇場で、諸井さんと仲道さんの対談と演奏によるレクチャー・コンサート「ベートーヴェンの全32曲のピアノ・ソナタを語り・聴く会」が行われました。この日の記者懇親会は、その共同研究に深く関わった音楽評論家の柴辻純子さんと仲道さんの対談形式で進行しました。

諸井さんとの共同研究を土台にして長年ベートーヴェンと向き合ってきた仲道さん。今では、そのときの楽曲分析を基に音の意味づけが明確になり、「仲道郁代のベートーヴェン」を、自由な解釈で自信を持って弾けるようになったそうです。
後期三大ソナタとされる《ピアノ・ソナタ第30~32番》について、仲道さんは「よく言われるような“悟りの境地”とか“神々しさ”ではなく、極めて人間的で生々しい、泥臭い試行錯誤のありかたが書かれていると思う」と語ります。
「人生の苦しみや悲しみを、自分のなかでどうケリをつけるか。それを体験できるのが、この最後の3つのソナタです」
また今回のプログラムの意図について、「《第30番》と《第31番》のあとにシェーンベルク《6つの小さなピアノ曲》を聴くと、その次の《第32番》がより深く心に入ってくる」と明かしました。

昨今では「次にこの曲を演奏できるのはいつになるだろうと考えて、“今、このとき限り”ということを大切にしている」と語る仲道さん。今回のステージに向けて「音楽で何を表現して、コンサートという場で何を問えるのか、覚悟を持って演奏したい」と意気込みを示しました。さてどんな「音楽の哲学」が提示されるでしょうか。リサイタルの詳細はこちらです。

なお仲道さんは、月刊誌『ムジカノーヴァ』で隔月連載「私的ベートーヴェン演奏論」を2018年11月号から2025年9月号まで執筆。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲について独自の演奏論を展開しました。その《第30番》《第31番》《第32番》の一部を、『ムジカノーヴァONLINE』でも順次公開します(下記「関連記事」)。


*関連記事:仲道郁代のベートーヴェン《ピアノ・ソナタ》演奏論
 ピアノ・ソナタ第30番~ベートーヴェンの愛の物語
 ピアノ・ソナタ第31番~最も意味深なソナタ
 ピアノ・ソナタ第32番~ピアノ・ソナタの終止符か? 否か?

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