ブルクミュラークリニック ダイジェスト

ブルクミュラーの大人気ピアノ作品『25の練習曲』から1曲ずつ取り上げ、曲の作り、取り組み方、練習法などをお話ししていく「ブルクミュラークリニック(略してブルクリ)」。月刊誌『ムジカノーヴァ』から引き継いで、この『ムジカノーヴァONLINE』でも続けていきます。今回は第14番《スティリエンヌ》です。ここでは大事なポイントをかいつまんで、ダイジェスト版としてお届けします。第25番まで行き着いたら、「処方箋」などもまとめて隅々までご紹介します。

ブルクミュラークリニック 総合部トリル科教授 前田 温(ぜんだ おん)
文 奈良井巳城
イラスト 駿高泰子
女の人? 民族舞曲?
前田 読者の皆さま、こんにちは。今日は院長が不在なので、私、前田温がお話しします。今日の曲は第14番《スティリエンヌ》、跳躍が大切なポイントのひとつとなるために、跳躍科から奥多部先生をお呼びして、一緒に解説します。《スティリエンヌ》というタイトルなのにムサ苦しい男二人ですが、ご容赦ください。

総合部跳躍科准教授 奥多部跳音(おくたぶ とぶお)
奥多部 温先生~、いきなりムサ苦しいとは、ひどいですよぉ~。あ、話脱線したぁ~。タイトルのお話でした!
前田 ん、原題の《La Styrienne》は、「スティリア(シュタイヤー)→スティリア地方の」といった意味だが、定冠詞のLaから察するに、スティリアの女の人を表すことにより、ある楽譜では《スティリアの女》というタイトルになっている。
奥多部 そうなんですよねぇ~、スティリア地方といえば、アルプス! この曲は民族舞踏音楽の匂いがぷんぷんするので、《シュタイヤー舞曲》なんてタイトルもありますしぃ~。そこでっ! もういっそどっちも取っちゃえ!ってことで、スティリアの女の人がちょっとエレガンスにアルプス地方の民族舞曲を踊っちゃってる!ってことにしようかと。
前田 ん、大体、イメージはそこだろうな。では、いつものように「7つの心得」に沿って進めていこう。
奥多部 拍子は3拍子! で、陽気なG-dur。ワクワクしちゃう調だねっ! 楽語はムジカノーヴァ2025年10月号の付録ポスターを見れば大丈夫だぉ。
前田 「心得4」のフレージング・デュナーミクは、分析で理解しよう。すべてのセクションが短いスラーで区切られていて、小節をまたぐスラーがないのが特徴だ。

奥多部 デュナーミクは全体に控えめですよねぇ~、イントロもmfで、4 小節目の踊りの始まりもpでとてもお上品な感じ。12 小節目から調性が変わってmoll なのに、情熱的なのがステキだぉ。

奥多部 そして、跳躍に注目! この曲のイッチ番カッコ良いところ(29・31・33 小節目)だからね! ここは大技をキメる感じで!

装飾と音価の工夫
前田 ん、跳躍の話をしてくれたついでに、装飾と音価について私が話そう。この曲に出て来る前打音は2種類ある。まず、音符に斜線のある短前打音(1小節目の右手など)。

前田 それから、2音で構成される複前打音(14小節目の右手など)。

前田 バロック期のように拍頭に入れる奏法と拍の外に出す奏法があるから、リピートする場合は、両方取り入れて弾くのが良いだろう。
奥多部 音価についてはどうですかぁ~?


