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ブルクミュラー『25の練習曲』の弾き方教え方~第12番《お別れ》

ブルクミュラークリニック ダイジェスト

ブルクミュラーの大人気ピアノ作品『25の練習曲』を1曲ずつ取り上げ、曲の作り、取り組み方、練習法などをお話ししていく「ブルクミュラークリニック(略してブルクリ)」。月刊誌『ムジカノーヴァ』から引き継いで、この『ムジカノーヴァONLINE』でも続けていきます。今回は第12番《お別れ》です。ここでは大事なポイントをかいつまんで、ダイジェスト版としてお届けします。第25番まで行き着いたら、「処方箋」などもまとめて隅々までご紹介します。

ブルクミュラークリニック院長 奈良井巳城(ならい みき)

文 奈良井巳城
イラスト 駿高泰子


刺繍音だらけの曲

奈良井 読者の皆さま、こんにちは。ブルクミュラークリニック、今回は第12番の《お別れ》です。この曲によく出てくる刺繍音型にちなんで、鳥浪離人先生にいらしていただきました。浪離人先生、よろしく!

総合部トリル科教授 鳥 浪離人(とり ろりと)

鳥 院長、こんにちは。刺繍音だらけの曲に呼んでいただいてありがとうございます。とてもドラマティックな曲ですよね。

奈良井 そうね、音の配置や音型がドラマ性を物語っているよねぇ~。

 アウフタクトで始まる曲は第9番《狩》以来、2曲目……。

奈良井 おっと、浪離人先生、ひとまずいつもの「7つの心得」に沿って、順にいきましょうか。

 あ、すみません、先走った。では改めて、「心得1」の楽譜についてはこちらを参照してください。「心得2」の拍子は4/4、調はa-mollで、これまでにも出てきましたね。楽語はムジカノーヴァ2025年10月号の付録ポスターを見れば完璧。とすると、「心得3」のタイトルからお話しになりますか。

奈良井 タイトルと言えば、我々はいつも自分のイメージに合う内容で考えることを推奨してるけど、なんか、面白い話あったよね、この曲。

 あぁ、あの話! なんでもこの曲に限らず、全25曲のタイトルを自分の感じるように付け直した人がいたって話ですよね、この曲の「お別れ」をなんと「ト〇〇」ってイメー……。

奈良井 おっと! ダメだよ、ネタばらしは。面白話があったってだけなんだから。

 え、そうなんですか、ごめんなさい(汗)。では、気になる方は書籍『ブルクミュラー25の不思議~なぜこんなにも愛されるのか』をぜひ読んでみてください。

奈良井 うんうん、『25の練習曲』の魅力を多角的に取り上げていて、充実した本だよね。読者の皆様にぜひともオススメ。ということで、タイトル通り、「お別れ」について曲想を考えていこうかな。

2度と会えないかもしれない別れ

 この曲の別れは、「また明日ね」「また今度ね」とかいう身近な軽いお別れではなく、もう少し長期的な、あるいは「もう2度と会えないかもしれない!」といったお別れが合うんじゃないかなと思います。

・イントロ(1~4小節目)は嘆きと悲しみに溢れてるし……。

・5~16小節目では焦りと葛藤があって、「大切な人がどこかに行ってしまう!? 何か解決策はないのか? どうしたら良いかわからない!」というような、彷徨っている音型が特徴的だね。

・17小節目から(中間部)は、もう完全に思い出!! 楽しかった日々を思い出してるよねぇ~。

・23小節目から現実に引き戻されて、また不条理で無念な別れに直面するんだ。

・32・33小節目ではその無念な想いを叫び……。

・34・35小節目で、「なぜだ、なぜなんだ!!」と訴えるものの……。

・別れは避けられず、ため息を吐き、嘆きながら、大切な人は遠のいていってしまう(36小節目)。

・ラスト2つの和音で、別れの運命を告げられる主人公。

あ~なんてドラマティックなんだ……。

奈良井 一気に話したね。

 はい、なんか感情たかぶっちゃって。

奈良井 ありがとうございました。「心得4~7」については、またの機会にしましょう。では次回は第13番《なぐさめ》。なんか今回と話がつながっていそうなタイトルですね。お楽しみに。

 

本文で紹介した書籍『ブルクミュラー25の不思議~なぜこんなにも愛されるのか』。ブルクミュラーの人物像や活動、作品を紹介し、日本にはどのように伝わり、どのように教えられ演奏されてきたか、などを探ります。

クラシック音楽への招待 子どものための50のとびら
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