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人生100年時代の ピアノの先生の働き方③

楽器店のカリスママネージャー星野真之さんのもとに、世代も環境も異なる5人のピアノの先生が集合! 現在抱える仕事上の悩みや、より良い働き方への紆余曲折を、率直にお話しくださいました。
※2019年に実施した本座談会(ムジカノーヴァ2019年9月号掲載)を振り返るとともに、現在の近況も教えていただきました。

司会・まとめ―星野真之


ダブルワークという挑戦

私は企業の音楽教室でずっと教えて来ているので、皆さんのお話を大変興味深く聞かせていだいていました。

星野 大手の。それも大人の音楽教室にも深く関わられているとか。どうですか? 大人の方々は?

ずばり言ってものすごく真面目。熱心です。上手になりたいと同時に、人生を楽しみたい、社会と深く関わっていたいという志が高い方ばかりで、身が引き締まる思いです。

星野 単にピアノを習っておしまい、ではないですものね。

ええ、受付のスタッフとの会話も楽しまれてお帰りになります。だから教室もホテルか、サロンか、っていうくらいお洒落で整っていますね。

星野 大手の教室でないとなかなか実現できない世界ですね。

その通りです。自分一人でやっていたら垣間見られなかったであろう世界があります。ですからこれから学校を卒業して、仕事をどうしよう、なんて思っている人たちには選択肢の一つにぜひ加えてほしいですね。

星野 自宅がすべてではないですから。企業であれば生徒募集、日々の管理、発表会、レッスン室の調律など、お膳立ては全部してもらえて、指導に専念できる良さがありますね。

ぜひ選択肢に入れてほしいです。ただ、それでも私、残る1日だけは自宅でのレッスンに充てているんです。

星野 激務の中で、さらにそうされるのはなぜですか?

残念ですけどやっぱり定年という問題があります。それは仕方がないんですが、教える仕事から手を引くにはまだ早い。まだまだ、もっともっと、という意欲がありますから。すると必然的に自宅で、となります。

星野 人生 50年、なんていう時代ではないですから、今は。

伊藤 私はそれとはちょっと違うんですけど、最近着付けも教え始めたところです。

星野 全然違う分野への挑戦ですね? ただ、大変じゃないですか?

伊藤 もう大変です。でも四半世紀以上ピアノ以外のことをしたことがなかったから、どうしてもやりたくて。そもそもピアノをやっている人は反復練習に慣れているから、それは色々なことに活かせるんですね。

星野 世を上げてダブルワークが推奨される時代ですから、伊藤先生の挑戦にも石井先生の取り組みにも拍手を贈りたいですね。

伊藤 ただ、プロの仕事としてはまだまだで、異なる仕事を二つやるということは半端な気持ちではできないと痛感する日々です。

星野 よく副業、っていう言い方をされますけど、正しくは複業だと思います。生半可な覚悟だとできないですね。ただ、一つの仕事の経験は絶対に異なる仕事にも活きます。だからやらないのも社会全体で見ると大きなマイナス。やっぱり挑戦は大切ですね。


参加者の皆様

星野真之さん
楽器店マネージャー

伊藤裕美子先生
いとうピアノ教室

乾れい子先生
vivaceピアノ教室

木下佳奈子先生
きのしたピアノ教室

春木麻紗子先生
さくら音楽教室

山手晴香先生
山王音楽教室


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