
島村楽器アリオ橋本店で行われた、山本美芽先生の公開講座「〔練習できる子〕を育てる童謡による導入レッスン~『ピアチャレ』シリーズの使い方と目指すもの~」。当日の模様をピアノ指導者の日水綾香先生によるレポートでお届けします。
取材・文 日水綾香
『ピアチャレ』シリーズは山本先生の考案したピアノの導入教材です。基本コンセプトは「まず弾き慣れる」こと。以前に比べライフスタイルが大きく変化している昨今、共働き世帯が増え、保護者が子どものピアノの練習に付き合えるのは稀になってきました。そうした家庭環境でも、文字や数字の読める子どもなら、声をかけてさえおけば一人で練習できるように、というねらいで編纂されました。『はじめてのピアチャレ1』はト音記号のドレミファソの音域、『同2』はト音記号のソラシドレの音域、『同3』はへ音記号のドレミファソの音域に特化しており、発展編として『ピアチャレレパートリー』も発売されています。
『ピアチャレ』には、子どもたちがよく知っている民謡・童謡などが数多く載っています。誰もが知っている魅力的な曲をレパートリーに加えられることは、子どもたちにとって大きなモチベーション。それらをまずは歌い、リズムに乗れば、自然と子どもたちとの間に笑顔が広がります。実際に講座参加者全員で『ピアチャレレパートリー』に掲載されている《チェッチェッコリ》(ガーナ民謡)を歌って踊ると、あっという間に気持ちがほぐれ和気あいあい。やはり音楽に合わせて体を動かすのは楽しい!
子どもが自ら練習しやすいよう、読譜を支援するための工夫も随所にちりばめられています。何と言っても特徴的なのは、音符の玉の中に「ど」などと音名が書かれていること。ふりがなが五線の上部でなく玉の中に書かれていることで、音の高さの変化を無理なく追えるのがミソ。そして、鍵盤のどの場所を弾けばよいかが一目でわかる鍵盤図も付いています。
子どもの発達には色々なタイミングがあり、小学4年生以降に譜読みの力が伸びるタイプもいるのだとか。その前の段階でも、とにかく「まず弾き慣れる」こと。弾き慣れるうちに、音感やテクニックが育ってゆくのです。そのための大切な時期を逃さないことが重要だと山本先生は言います。
講座は終始和やかな雰囲気の中、『ピアチャレ』の使い方にとどまらず、この時代にピアノを教える者ならば知っておきたいエッセンスが詰まった濃密な2時間でした。
(2025年3月4日)
〔今後の講座予定〕
■〔練習できる子〕を育てる童謡による導入レッスン
~『ピアチャレ』シリーズの使い方と目指すもの~
10月29日(水)10:00~12:00 カワイ千葉ステージ
■知ってる曲でぐんぐん上達!
どれみ楽譜とCポジションでかなえる『ピアチャレ』の使い方
11月7日(金)10:00~12:00 ヤマハミュージック 横浜みなとみらい 3階 サロン
11月14日(金)10:00~12:00 サカエ楽器本店 3Fホール
山本美芽 編