2026年に歿後50年を迎えた作曲家・矢代秋雄。
代表作の1つに挙げられる《交響曲》はたびたび再演され、2025年2月には山田和樹指揮バーミンガム市交響楽団によるイギリス初演も行われました。
15歳のときに書かれた《ピアノのための24のプレリュード》は、人気ピアニストの藤田真央さんがアルバムに収録したことでも注目されています。
2025年6年に行われた仙台国際音楽コンクールのピアノ部門では、当時12歳の天野薫さんが本選で《ピアノ協奏曲》を演奏し、第3位と聴衆賞を受賞。この曲について天野さんは「聴いて、弾いているうちに、曲が持っている雰囲気にどんどん魅了されていって、練習も楽しくなっていきました」などと語っています(『ジュニアのピアノコンクール 課題曲にチャレンジ!』より)。天野さんはその後もリサイタルなどで《ピアノ・ソナタ》を取り上げるなど、矢代作品を重要なレパートリーとしています。
このように数々の作品が今なお各地で取り上げられている矢代秋雄は、折に触れて自由で率直な音楽論を綴った文章家でもありました。1976年に46歳で急逝した後、一周忌に合わせてそれらの論考を一冊にまとめた『オルフェオの死』が深夜叢書社から刊行されました。そして歿後20周年の1996年、新たに数本の原稿を加えた『オルフェオの死 矢代秋雄音楽論集』が音楽之友社から刊行。歿後50周年の2026年に新装丁で復刊されました。主な内容は、ショパン、ハイドン、ブラームス、ドビュッシー、ラヴェルなど、さまざまな作曲家や作品の分析、自作曲の作曲背景や解説、ペルルミュテル、ランパル、中村紘子など、交流のあった演奏家とのエピソードなど。旧版にはなかった秘蔵写真も数点収録されています。
刊行にあたって、藤田真央さんから「まるで矢代先生が今ここで親しげに話しかけてくださっているような、生き生きとした文体に惹き込まれます」、山田和樹さんから「最も偉大な日本人作曲家の一人である矢代秋雄という人物が、音楽家という枠を超えて、いかに哲学家だったか、ありありと分かる一冊」などと、帯にコメントが寄せられています。

矢代秋雄 著
定価2,860円


