樹原涼子さんが作曲したメソッド『ピアノランド』シリーズ。1991年に発売され、今年で35周年。2000年からは毎年、メソッドの楽曲を中心としたプログラムを楽しめる「ピアノランドフェスティバル」が開催されています。27回目となる今年は、5月3日に東京・大井町のきゅりあん小ホールで行われ、作曲者の樹原さんをはじめ、ピアニストの小原孝さん、樹原さんの息子で作曲家の樹原孝之介さんが、ステージに登場しました。

第1部は「ピアノランド物語」と「爆笑レッスン」
昨年までは真夏の恒例行事だったこのフェスティバル。開催時期がゴールデンウィークに移った今回も、客席には多くの親子連れなどが集まりました。この日が初めてのコンサート鑑賞となる子どもたちのためにも、演奏が始まる前に、樹原さんが客席でのマナーについてやさしく説明。そして、毎回オープニングを飾っている『ピアノランド①』の1曲目《どどどど どーなつ》で、今回のステージがスタートしました。
第1部は「ピアノランド物語『世界はこんなに美しい』」と題して、『ピアノランド』シリーズの楽曲を物語仕立てで次々に演奏。『おんがくえほん こっけん』の《ねこ ふんじゃダメ!》も登場しました。ソロあり連弾あり歌もあり。四季折々のさまざまな情景が描かれ、客席が手拍子で参加する曲も。そして最後には「争いのない平和な世界」への願いをこめて、『ピアノランド③』の《ともだちに なりたい》が、客席も一緒に手話付きで歌われました。
この日の「物語」で演奏された曲は、冒頭の《どどどど どーなつ》以外、「フェスティバル」で初めて登場する曲ばかりだそうです。豊富な曲数を誇る『ピアノランド』シリーズ。「来年はまた別の物語で演奏したい」と語った樹原さん。今度はどんな曲が登場するでしょうか。

次は「樹原先生」と「小原くん」の愉快な掛け合いが毎回好評の「爆笑レッスン」。今回は樹原さん作曲の新刊楽譜『バロックタイム』が発売されるのにちなみ、バロック作品の演奏で鍵となる装飾音が取り上げられました。日々の練習のために「樹原先生」が作ったのが《装飾音符のうた》。童謡《かえるの合唱》の各音にプラルトリラーなどのさまざまな装飾音を入れ、オリジナルの歌詞を付けたもので、客席にも楽譜が配られました。「譜面台に置いて練習しましょう!」(樹原さん)

第2部は「ピアノ上達のためのトークタイム」と「バロックタイム」など
第2部は、小原孝さんのソロで幕開け。NHK-FMで小原さんが長年担当している番組『弾き語りフォーユー』と同じスタイルで、スメタナ《モルダウの流れ》などが演奏されました。
その後、出演者の3人による「ピアノ上達のためのトークタイム」。事前にピアノ学習者から寄せられた質問に、3人が答えていきます。
Q 発表会は好きですが、練習は好きではありません。でも練習しないと本番もうまくいかない。どうしたらいいでしょうか?
小原 発表会で弾くのが好きというのはいいことですよね。練習と本番の両方とも好きになれると、もっといいですね。練習法を工夫してみましょう。
孝之介 誰か聴いてくれる人がいる前で弾くというのはどうでしょうか。本番のつもりで、集中することができます。
涼子 ぬいぐるみなどを並べて、お客さんに聴かせるつもりで弾くのもいいかもしれませんね。録音や録画をするというのも効果的です。
Q ゲームが楽しくてピアノを練習する時間がとれません。どうしたらいいですか?
涼子 孝之介くんも、小学生のころからゲームをよくやっていましたね。
孝之介 でも、ここまでクリアしたら終わり、という区切りを決めて、次のことに進むようにしていました。ピアノも同じで、今日はここができるようになるまで練習する、という目標を決めておくと、楽しく練習できますよ。
Q 歌の伴奏をやってみたいと思っていますが、どのようなことに気をつけたらいいですか?
小原 自分が弾いている音だけでなくて、共演する人の歌をよく聴く必要がありますね。歌っている人と一緒に呼吸をするということも大事です。

3人のトークは、新刊楽譜『バロックタイム』の話題へと移っていきます。
この楽譜は、樹原さんが17~18世紀のバロック音楽のスタイルで書いた小品集。「自然と溢れ出すように即興的に」「次々に誕生」したという12曲には、《希望のガヴォット》《ヘンデルへのサラバンド》《憂いを帯びたシャコンヌ》など、独創的なタイトルが付けられています。この日は3人が交代で、全12曲のステージ初演を行いました。
そして最後は「歌のコーナー」。第1部で演奏された「ピアノランド物語」のテーマにも通じる《百年》と《世界が平和になりますように》が歌われ、フィナーレとなりました。
この日のステージは、アーカイブ配信で視聴することができます。詳しくはこちら♪
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