4月1日から参加申込受付中の2026年度ピティナ・ピアノコンペティション。年齢とともにステップアップする「ソロ部門」では、予選と本選を通して「バロック」「クラシック」「ロマン」「近・現代」の「4期」の課題曲に取り組み、各時代のスタイルを弾き分けます。
ムック『ジュニアのピアノコンクール 課題曲にチャレンジ』では、A2級(未就学)~D級(中学2年生以下)の課題曲から16曲の誌上レッスンを掲載。また、課題曲選定委員長の本多昌子さんに選曲の趣旨をうかがいました。その一部を抜粋でお届けします。

難易度よりも自分の長所が自然に聴き手に伝わる曲
――「バロック」「クラシック」「ロマン」「近・現代」の各スタイルの課題曲を選定する際、どのようなことを重視しましたか?
本多 2026年度に限らず、毎年、それぞれの時代の様式が学べて、その上で音楽性や表現力を育てる作品であることを重視しています。
バロック
多声音楽において各声部の表現力が求められる曲、バロック舞曲でリズム感を求められる曲、次の時代のクラシックスタイル(古典派)につながる和声機能や形式を把握する曲などが課題曲になっています。
クラシック
メロディーと伴奏のスタイルにおいて、そのフレーズの表現法、伴奏型の和声感、ソナタ形式などの音楽の構成を理解し、学べる曲などが選定されています。
ロマン
表現力の豊かな楽器にピアノが発展した時代には、メロディーを美しく歌わせる作品が多く生まれます。課題曲になった作品は、曲の表題等からイメージを持って表現力を発揮してほしい曲、音色作りや音色の変化を求める曲などです。
近・現代
まずは邦人の作品、このコンペティションの課題曲のために作曲された新曲(応募作品から選定された曲)。また、フランス、ハンガリー、ロシア、ドイツなどで、1900年以降に教育目的で作曲された作品、多彩なリズム、多様な響きや調性感といった特徴を持つ曲なども選ばれました。
――参加者が課題曲を選曲する際、どのようなことに気をつければよいでしょうか?
本多 課題曲は4期の各時代で3~4曲ずつ提示されていますが、それぞれ違った学びがあります。本来は全曲勉強すると大変充実した学びになるところですが、なかなか難しいですね。それでも特にB級までの参加者の方は、ぜひ全曲弾いてみてほしいです。課題曲選びでは、難易度よりも自分の音色や表現、リズム感など、長所が自然に聴き手に伝わる曲を選ぶとよいでしょう。そして、「この曲が弾きたい」と思える気持ちを持って向き合える曲であることが、何よりも大切だと思います。
なお、ムック『ジュニアのピアノコンクール 課題曲にチャレンジ』に掲載の2026年度ピティナ・ピアノコンペティション課題曲と解説執筆者は以下の通り。
〈A2級 クラシック〉メトードローズ《バーゼルの思い出》(高橋千佳子)
〈A2級 近・現代〉バスティン《棒あめのワルツ》(二本柳奈津子)
〈A1級 バロック〉ドイツ民謡《もしもわたしが小鳥なら》(奥村 真)
〈A1級 近・現代〉バスティン《マクドナルドおじさんのロック》(塚田めぐみ)
〈B級 バロック〉J.S.バッハ《メヌエット》ト短調 BWV822-5 (福田ひかり)
〈B級 クラシック〉W.A.モーツァルト《アリエッタ》(片山早苗)
〈B級 クラシック〉クーラウ《ソナチネ》Op. 55-3 第1楽章(平井千絵)
〈B級 ロマン〉チャイコフスキー《古いフランスの小さな歌》Op.39-16(曲尾雅子)
〈C級 バロック〉ペッツォルト《アルマンド》(浦壁信二)
〈C級 バロック〉ラモー《メヌエット》イ短調(花岡千春)
〈C級 ロマン〉グリーグ《妖精の踊り》Op.12-4(菅野雅紀)
〈C級 近・現代〉プロコフィエフ《行進曲》Op.65-10(西尾 洋)
〈D級 バロック〉D.スカルラッティ《ソナタ》K.9/L.413(久元祐子)
〈D級 バロック〉J.S.バッハ《フランス組曲 第3番》より〈アルマンド〉(杉浦日出夫)
〈D級 バロック〉J.S.バッハ《フランス組曲 第4番》より〈アルマンド〉(赤松林太郎)
〈D級 ロマン〉ラフマニノフ《幻想的小品》ト短調(秋場敬浩)

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