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ブルクミュラー『25の練習曲』の弾き方教え方~第11番《せきれい》

ブルクミュラークリニック ダイジェスト

ブルクミュラーの大人気ピアノ作品『25の練習曲』を1曲ずつ取り上げ、曲の作り、取り組み方、練習法などをお話ししていく「ブルクミュラークリニック(略してブルクリ)」。月刊誌『ムジカノーヴァ』から引き継いで、この『ムジカノーヴァONLINE』でも続けていきます。今回は第11番《せきれい》です。

ブルクミュラークリニック院長 奈良井巳城(ならい みき)

文 奈良井巳城
イラスト 駿高泰子


せきれいってどんな鳥?

奈良井 読者の皆さま、こんにちは。ブルクミュラークリニック、今回は第11番の《せきれい》です。伴奏科から王分散先生をお迎えしています。王先生よろしくお願い致します。

滑走部伴奏科教授 王 分散 先生(おう ぶんさん)

王 院長、久しぶりアル。この曲はとても小さい曲だけど、なかなかムツかしいね。

奈良井 あ、王先生もそう感じますか。

王 うん。見た目は「軽い曲」「速い曲」思てしまうけど、それだけの思いで弾くと、すぐ音バタバタになるね。

奈良井 確かに。音がちょこちょこ飛ぶし、少し落ち着きない印象もありますもんね。

王 タイトル、ちゃんと意味あります。みんな「せきれい」という鳥、調べてみる。そしたら分かります。

奈良井 あの尾っぽをぴょこぴょこする鳥ね。

王 アイヤ~、院長、読者を甘やかさないで!みんな、自分で調べると、よく分かります。でも、話進まないですね。だから、ちょっとヒント言います。せきれいは速く走れる鳥です。でもいつも速いじゃない。ちょこちょこと歩きながら、尻尾をふりふりします。人間みたいに、足、交互に出して歩く鳥です。少し歩いて、止まる、見る、また動く。これが特徴ね。

奈良井 なかなかにチャーミングな動きをする鳥ですよね~

王 次はアーティキュレーションを見てみましょう。短いスラーとスタッカート、多いですね。これも、せきれいの動きを表しています。さっき言いましたね、ちょこちょこ歩く、そして止まる。この「止まる」、とても大事アル。

奈良井 うんうん、すっ飛ばしてどんどん行くんじゃなくてね。餌を探してちょこちょこ歩いては止まる、その動作が、音楽の「ま」になるよね~。

王 アイヤ~、その通りです。音と音の間、ちゃんと感じると、一つひとつの音、いきいきしてきますよ。

「スタッカート=跳ねる」ではない

奈良井 そして、スタッカートもこの曲のポイントですね?

王 はい、スタッカート=跳ねる、じゃないです。鍵盤、軽く触って、すぐ離れる。床、蹴らないで、そっと足、上げる感じです。

奈良井 指だけで弾くと重く固く、まっすぐなリズムになりやすく、ロボットで作られたせきれいみたいになっちゃうもんね。

王 それ、良くないですね。指先と手の重さ、どれだけ軽く使って音、作れるか。それ、練習のポイントです。この曲アルペッジョ多いです。だから、和音の形、先に決めて、ポジション移動柔らかく、軽く、動く、まさに、せきれいの動き、ですね。それからみんな! 思い出して!! 同じフレーズ、2回弾くとき、表情、変える、言いましたね? 中間部(15~22小節目)はの世界でしたね。じゃあ、ここ、の世界にしたら、どんな感じ、なりますか??

奈良井 中間部をの世界で弾くと、何かに怯えているような、逃げていくような感じにもなったりして、全然違う表現になって面白いね。せきれいの1日に何が起こるのか!? ドラマを考えるのも楽しいよな~。

王 そうそう、同じ音でも、世界、全然変わります。

奈良井 王先生、ありがとうございました。さて、次回は、おわかれ、あ、曲の名前ですよ。ブルクリは続きます。《お別れ》、とてもドラマティックな曲です! お楽しみに。

 

ムジカノーヴァ2025年10月号の特別付録は、ポスター「ブルクミュラー『25の練習曲』に登場する楽語たち」です!

クラシック音楽への招待 子どものための50のとびら
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