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人生100年時代の ピアノの先生の働き方②

楽器店のカリスママネージャー星野真之さんのもとに、世代も環境も異なる5人のピアノの先生が集合! 現在抱える仕事上の悩みや、より良い働き方への紆余曲折を、率直にお話しくださいました。
※2019年に実施した本座談会(ムジカノーヴァ2019年9月号掲載)を振り返るとともに、現在の近況も教えていただきました。

司会・まとめ―星野真之


何でも一人で抱え込まないで

伊藤 実は私は今、週に3日は遠方の母の介護に新幹線で通って、残る4日でレッスンをしています。子育てが終われば介護が来るのが今の時代ですから、うかうかしていると人生終わってしまいます。

星野 パワフルですねー。

伊藤 全然そんなことはなくて、一度倒れました。なんでも一人で抱えるのはやっぱり無理なんです。

星野 一人では……というお話が出ましたが、春木先生は教室に他の先生にも来ていただいているとか?

春木 私は平日午前と土日だけで、他の日は4人の先生方にお願いしています。先生方は地元の求人サイトで探して、フィーリングで選ばせてもらいました。

山手 羨ましいです。私は子どもを預けるにも限界があるから、平日の限られた時間帯に集中してやるしかなくて。

春木 実は自宅がレッスンをできる環境になくて、結婚前から自宅外に教室を構えていたのが、こうなると幸いしているのかもしれません。普通のマンションの1室なんですけど、大家さんも防音の相談に乗ってくれましたよ。

木下 参考になります。私独身なので。

星野 木下先生は、今生徒さんは何人くらい?

木下 自宅教室に仕事を絞って5年目なんですけど、30名の方に来ていただいています。

星野 まず順調ですね。生徒さんがそれ位いらしたら、外にレッスン室を持つことも可能ですよ。今レッスンで得られている収入の半分を毎月投じるとして、経済的に可能かどうかを算段します。20万円くらい月謝収入があれば、10万円くらいを家賃やローンに使えます。すると大分現実的なお話になります。

木下 なるほど(笑)。

星野 将来ご結婚されて家を建てる時に、レッスン専用スペースは、玄関を通らずに生徒さんが出入りできる造りにしておくとよいですね。そうすると、他の先生にお願いするのも簡単になります。

木下 メモしておきます。

伊藤 全体的に私たちって、一人で頑張りすぎる傾向にありますね。

山手 私、チラシでもホームページでも全部自分でやってしまいます。しかもやり始めると凝り性なので、自分で自分を追い込んでしまうところがあるんですよね。

星野 結局人間って、職人タイプと商人タイプに分かれます。私の妻もピアノ教室を展開しているんですが、特に発表会前なんか雑用に忙殺されてピリピリしていた。もうそばにいて怖いくらいに(笑)。それをパソコンが得意な若い先生に全部任せたら、一気に楽になったようです。これは一例に過ぎませんが、全部を自分で抱えないことの大切さが分かりますね。 人の力を借りないと、やがて突き当たる壁があります。

伊藤 それは年を取ると分かりますね。

星野 認めたくないですが、気力体力ともに低下します。そもそもいつまでも同じ働き方を続けるっていうこと自体があり得ないことです。


参加者の皆様

星野真之さん
楽器店マネージャー

伊藤裕美子先生
いとうピアノ教室

乾れい子先生
vivaceピアノ教室

木下佳奈子先生
きのしたピアノ教室

春木麻紗子先生
さくら音楽教室

山手晴香先生
山王音楽教室


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